歯を失った時の治療
歯を失った時の治療は大きく3つ
歯を失った時、お口の機能性・審美性を回復させる方法として、大きく「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」があります。保険診療では、入れ歯やブリッジを選択することになりますが、入れ歯の場合、ものがきちんと噛めなかったり、口元の審美性が損なわれたり、歯を失った部分の両隣の歯に負担がかかったりすることがあります。ブリッジでは、健康な歯を削らなくてはいけません。ただし、短期間で治療することが可能で、保険が適用されるため、費用が抑えられます。
一方、インプラントでは、自費診療となるため費用がかかり、治療期間も長くなりますが、「天然歯同様の噛み心地が得られる」「見た目が自然」「他の健康な歯に負担がかからない」などのメリットがあります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、よく把握したうえで、ご自身のニーズに合う方法を選ばれることをおすすめします。
保険適用の治療方法
ケース別の治療方法
歯を1本失った場合
歯を失った部分の両隣の歯を削り、それを支えとしてブリッジを入れます。
歯を数本失った場合
部分入れ歯を使用します。入れ歯を固定するためのクラスプ(金属のバネ)が目立って審美性が損なわれたり、ものがきちんと噛めなかったりするなどの不具合が生じることもあります。
歯をすべて失った時
総入れ歯を使用します。入れ歯がずれたり、ぐらついたり、外れたりするほか、食べ物が入れ歯と歯茎の間に入って、痛みが生じたりすることがあります。
入れ歯・ブリッジのメリット・デメリット
入れ歯のメリット・デメリット
メリット
- 保険が適用されるので、費用が抑えられる
- 治療期間が比較的短い
- 万が一、トラブルが起きた時、対応しやすい
デメリット
- ものがきちんと噛めないことがある
- 天然歯と比べて、噛む力が弱い(天然歯と比べて10~20%程度にまで低下するとされている)
- ずれたり、ぐらついたり、外れたりすることがある
- クラスプ(金属のバネ)が目立って、口元の審美性が損なわれる場合がある
ブリッジのメリット・デメリット
メリット
- 入れ歯よりも安定感があり、比較的ものが噛める
- 入れ歯と比べると、審美性が高い
- 入れ歯と比べると、違和感が少ない
デメリット
- 健康な歯を削る必要がある
- ブリッジを支える両隣の歯に、過度な負担がかかる
インプラント
ケース別の治療方法
歯を1本失った場合
他の健康な歯を削るなど、影響を与えることなく、患部のみを治療することができます。
歯を数本失った場合
歯を失った部分に、適切な本数のインプラントを埋入して、人工歯(上部構造)を被せます。入れ歯のように、クラスプが必要ないので、自然な見た目となります。
歯をすべて失った場合
数本のインプラントを埋入し、それを固定源として、入れ歯を装着させます(インプラントオーバーデンチャー)。
インプラントのメリット・デメリット
メリット
天然歯同様の噛み心地
インプラントでは、歯を失った部分の顎の骨にしっかりと固定するので、天然歯同様の噛み心地が得られて、硬いものでもしっかりと噛めるようになります。
見た目が自然
入れ歯のようにクラスプを必要としないので、見た目が自然です。
他の健康な歯が守れる
インプラントでは、患部のみに治療を行うことができるので、他の健康な歯に負担はかかりません。他の健康な歯を守り、これ以上、歯を失うのを防ぐことが可能です。
会話・食事などが快適
入れ歯のように、口元の審美性を損なう心配はありませんし、ほとんど違和感は生じないので、会話や食事を快適に楽しむことができるようになります。
顎の骨の衰退が抑制できる
インプラントの場合、噛む力が顎の骨に伝わるので、骨が痩せていくのを抑えることができます。
口元の印象が若々しくなる
咬合力が低下すると、口元の張りが失われたり、しわが増えたりして、老けて見えてしまうことがあります。しかし、インプラントでは、天然歯同様の咬合力にまで回復させることが可能なので、口元を若々しく魅せることができるようになります。
デメリット
保険が適用されない
インプラントでは、保険が適用されないため、入れ歯・ブリッジよりも費用がかかります。
手術が必要
人工歯根を顎の骨に埋入するために、手術が必要になります。
治療期間が長い
入れ歯・ブリッジと比べると、治療期間が長くなります。